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PARKERは、英国王室御用達の高級筆記具メーカーです。「創意工夫」という意味を込めたブランド「INGENUITY(インジェニュイティ)」には、これまでにない新しい取り組みをしている方にふさわしい、さまざまなペンがラインナップしています。

本コンテンツ『「創意」の人と、その手元』では、独自のスタンスで仕事に臨み、新たな挑戦を続けている方にインタビュー。今回ご登場いただくのは「ボードゲームホテル」や「佐久市リモート市役所」「小1起業家」など、多くのユニークな企画を世に送り出してきたプランナーの佐藤ねじさんです。クライアントの課題を解決するためのものづくりは、どのように進められているのか?いままでにない価値を生み出し、世に届けるための創意工夫を伺いました。

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​佐藤ねじ

​プランナー/アートディレクター

1982年生まれ。面白法人カヤックを経て、ブルーパドルを設立。代表作に「ボードゲームホテル」「隠れ節目祝いbyよなよなエール」「アルトタスカル」「不思議な宿」「佐久市リモート市役所」「小1起業家」「劣化するWEB」など。著書に「子育てブレスト」「こどもの夢中を推したい」など。主な受賞歴に、ACC CREATIVE AWARDゴールド、文化庁メディア芸術祭・審査員推薦作品、グッドデザイン賞BEST100、TDC賞など。

バイアスを外し、いつもゴールを意識する

​――お仕事をするとき、一番大切にしていることを教えてください。
 

佐藤:「バイアスを外すこと」でしょうか。たとえば、僕は自分が立ち上げたブルーパドルという会社を、最初のうちは「何かしらデジタルの成果物を生み出す会社」だととらえていました。でも、実際はクライアントの課題を解決するのが仕事なのであって、その手段はデジタルに限りません。極端なことを言えば、目的を達成できるなら別に何もつくらなくたっていいんだと気づいたんです。ほかにも「会社を始めたら、人を増やしていくものだ」というバイアスがあったけれど、プロジェクト単位で関わってもらう形もアリだと思い、2019年以降はフリーランスが集まったギルド制に変更。こんなふうにバイアスを外していくことは、僕らしい仕事の進め方のひとつだといえます。

それから、手癖をなくすことも心がけていますね。取り組んできたことを振り返って成功パターンを分析するのは有意義ですが、だからといってうまくいった方法だけを繰り返していても、成長しません。そのときどきの時代感なども踏まえながら、つねに改良案を探していくのが大切。人は放っておくと劣化する生き物だけど、手癖に頼らず仕事をしていけば、劣化のスピードに抗えると思っているんです。

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――お仕事において、日ごろどのような「創意工夫」をされていますか?
 

佐藤:まずは、ゴール至上主義であることです。たとえば、クライアントのゴールが「100万人にリーチしたい」ときと「1000人の濃いファンを作りたい」ときとでは、やるべき施策はまったく変わります。そのゴールにとって必要なことは何かをじっくり考えて、取り組む。その結果、クライアントがWebを制作してほしいと言っているのに「いえ、Webは必要なさそうですよ」などとお題返しをしてしまうことも少なくありません。もちろん、本当にWebが必要だと思ったときには、地獄の果てまでやりきりますよ。でも、それはつくりたいからつくっているのではなく、ゴール達成にとって必要だからやっているに過ぎないのです。

何かをつくったあとで、それがきちんと世に届くよう試行錯誤するのも、大切な創意工夫です。とにかく注目されればクリアだと思っていた時代もありましたが、いまはその注目が目指すゴールに本当に必要なものか、必要ならどう作用するかを重視しています。でも、届けることには確実な成功パターンがないんですよね。だから日々さまざまなSNSを見て研究しながら、リリースの告知文などを書いては直し、書いては直し……。絶対の正解がないからこそ、胃が痛いと思いながらも工夫を積み重ねてゆく姿勢が必要だなぁと思います。

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デジタルとアナログを行き来して、思考を深掘

――そうした「創意工夫」のスキルは、いつどのように身に付けましたか?
 

佐藤:自分でゼロからつくったものをリリースしたり、商品やお店をつくって利益を出すところまでをミッションとする案件が増えたりしたことで、昔よりは“届ける”意識がシビアになってきました。やっぱり「知ってもらう」や「楽しんでもらう」より「買ってもらう」が一番難しいんですよね。ゴール至上主義であるがゆえにその難題から逃げられなくなってもいるから、方法をとことん考えます。


この数年は打率を上げるために、ターゲットのインサイト(Insight)をいままで以上に考えるようになりました。細かいペルソナを設定して、その人たちの心理や本質、コンテンツとのハブになってくれそうな人などを深堀していくんです。そこにゴール(Want)、ターゲット(Target)、SNSスパイス(SNS Spice)を掛け合わせたのが、僕なりの企画フレーム「WTIS」。最近はこの手法で、さまざまなコンテンツを練っていくようにしています。でも、残念ながら、まだスキルが身に付いたとはいえないですね。いまも現在進行形で、頑張っているところです。

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――アイディア出しやスケッチ、文章を書くなど、手を動かす作業に使う道具や環境にこだわりはありますか?
 

佐藤:デジタルとアナログを使い分けるのがこだわりです。カバンの中には、つねに紙とペンとiPad。アイデアはメモアプリに残しているけれど、何かを決めるときは、紙に手書きしながら考えていくほうがしっくりきます。そうやって作業や気分に合わせて環境を変えることで、脳のモードも切り替わるような気がするんです。

アイデアを紙に書き出したあと、そこで深めた思考をもう一度デジタルでなぞっていくと、面白いことが起こります。新しいアイデアを足してみたくなったり、不要な部分が見えてきたりして、企画がさっきとは違う方向に転がっていくんです。誰かと話すとき、もともと考えていた内容を話そうとしているのに、なんとなく一言二言プラスしてしまうことってありますよね。あれと同じ効果があるんだと思います。それから、手書きだと難しい漢字が書けないから、メモ全体がなんとなくふわっとして、抽象度が上がるのも面白いところです。

いまのところアナログのペンにこだわりはありませんが、佐藤雅彦さんや小山薫堂さんのような最上級のクリエイターは、やはり素敵なペンを使っていらっしゃると聞きます。そういうのって、憧れますよね。僕はいろんな分野のベストバイを考えたりするのが好きなんですけど、じつは、ペンのベストバイはまだ空席。高級筆記具は奥が深そうなので、これから掘ってみたいジャンルのひとつです。今回インジェニュイティを試してみて、こういうペンは書き心地だけでなく、所有したときに抱く感情がキモなのかなと思いました。「これを持っている」「これで書いている」という心持ちが、機能以上に価値をもたらしてくれるのかもしれません。

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人生の大ゴールを見失わないためにも、遊ぶ

――いま挑戦していることや、今後新たに取り組んでいきたいことはありますか?
 

佐藤:生成AIを使い込んで、動画や音楽、漫画、アプリといったさまざまなコンテンツをひととおりつくれるようになりたいなと思っています。自分一人でそうした作品をつくることはいままで考えてこなかったけれど、AIを使うコツをつかんだら、また新しいものづくりができそうだなと思いました。

ただ、仕事については規模の大きなものをつくろうとか、すごい賞を獲りたいとか、そういう意識はさほどありません。過去の偉業を胸に生きていくよりも「次はこのリリースがあるんだよな」って楽しみを未来に置き続けるほうが、僕にとっては幸せだと思うんです。そして、その楽しみは仕事じゃなくてもいい。というより、今後10年は遊ぶことを頑張ろうと心に決めています。自分の幅を広げるためにも、仕事のように遊びをやりたいんです。「すごいクリエイターは自分の名前でずっとものづくりを続けるだろう」とか「年齢を重ねたら偉くなって大学で教えたりするのかも」などとぼんやり思っていたけれど、これもひとつのバイアスですよね。だからその思い込みを離れて、40代はとにかく遊ぶ。そのまま帰ってこられず、プランナーを辞めることになってもいいと思っています。だって、クリエイターとして何かを成し遂げることは、人生において小ゴールに過ぎません。大ゴールは、楽しく生きること。それは仕事ばっかりしていても達成できないゴールなので、やっぱりもっと遊びが必要なんです。

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PARKERインジェニュイティは創意工夫によって新しい道を切り開こうとするビジネスパーソンの為のペン

​重厚感、書き心地、ステータス感を同時に満たす新ラインナップが登場

2011年の発売以来、革新と進化を続ける「パーカー インジェニュイティ」から、抜群の書き心地を誇るボールペンが加わりました。「パーカー インジェニュイティ」の高級感あるゆったりとしたフォルムに最適な長さ、軸径、重さのバランスを追求し辿り着いた、パーカーボールペンの現行ラインナップの中で一番大きいサイズ。

ダイナミックでありながら洗練されたモダンなデザインは、あらゆるシーンで持つ人の存在感を高めます。ペンで自分らしさを表現したエグゼクティブやプロフェッショナルの方におすすめしたいアイテムです。

Photo:Teppei Daido
Interview&Text:Sakura Sugawara

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