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PARKERは、英国王室御用達の高級筆記具メーカーです。「創意工夫」という意味を込めたブランド「INGENUITY(インジェニュイティ)」には、これまでにない新しい取り組みをしている方にふさわしい、さまざまなペンがラインナップしています。
 

本コンテンツ『「創意」の人と、その手元』では、独自のスタンスで仕事に臨み、新たな挑戦を続けている方にインタビュー。今回ご登場いただくのは、一級建築士として建築設計に携わるかたわら、透明水彩を用いたホテルの実測スケッチが人気を集めている遠藤慧さんです。建築と絵を描くこと、カラーコーディネーターとしての色彩感覚を掛け合わせて、自分ならではの領域を開拓しています。スケッチのときに心がけていることや本業へのつながり、今後の展望などを伺いました。

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遠藤慧

​建築士、カラーコーディネーター

東京藝術大学建築科卒業、同大学院修士課程修了。建築設計事務所(RFA)勤務を経て、環境色彩デザイン事務所クリマ勤務。東京都立大学非常勤講師。建築設計に携わる傍ら、透明水彩を用いた実測スケッチがSNSで人気を集める。著書に『東京ホテル図鑑 実測水彩スケッチ集』(学芸出版社)。雑誌『with』(講談社)にて「実測スケッチで嗜む名作建築」連載中。

​実物をよく観察することが、自分なりの物差しをつくる

​――お仕事をするとき、一番大切にしていることを教えてください。

遠藤:「実物を見る」ということです。私は芸大出身なのですが、絵を描くときにはその対象をよく見ることが大切だと教わってきました。なのに、慣れてくるとつい想像で勝手に補完して、描きやすいように手を動かしてしまいがち。また、いまはインターネットで世界中の写真が見られるため、資料に困ることもありません。でも、実物を見たときの印象と、画面越しに見たときの印象は違うもの。感触や素材感、温度、構造など、実物の持っている情報量は本当にすごいんですよね。その延長で、ものを作るときも、たくさん事例(実物)を見ることを心がけています。
 

ホテルの実測スケッチも、もともとはホテルの実物をたくさん見たくて始めたこと。設計事務所で働いていたとき、ホテル設計のヒントを得るために、素敵なホテルに泊まって記録を残すようになったんです。スケッチをするには、それこそ実物をよく見ないといけません。じっくりと観察して丁寧に描き残すことで、「部屋の幅がこれくらいだとこう感じるのか」「ベッドや机がこういう向きだと快適なんだ」などと、自分のなかにレファレンスができていきます。
 

いまの本業である色彩のお仕事をしているときもそう。建物の内外装や街並み、人にまつわる環境に合わせてさまざまな色彩をデザインする仕事なので、これも実際の環境の中で実物の色をよく見るのがものすごく大事です。

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――お仕事において、日ごろどのような「創意工夫」をされていますか?
 

遠藤:ホテルの実測スケッチでは「建築×スケッチ×色彩」という、自分の得意を掛け合わせた視点を持つようにしています。
 

スケッチでのこだわりは、対象がわかりやすく見える構図です。その物体が、一番その物体らしく見える構図をとことん探します。「この椅子は、この向きで描くのが一番素敵だな」「真横から見るとカップの形がすごくよくわかる」などと、いろんな向きから眺めてみるんです。部屋の全体図では、特徴的な家具の形やそれぞれの位置関係を伝えるために、天井の奥から見下ろしたようなアングルを採用することも。もちろん、実際にその位置から部屋を見ることはできません。でも、部屋中をうろうろ歩いていろんな角度から眺めているうちに、別角度からの見え方もわかってくるんです。
 

建築の視点では、部屋中の間取りからインテリアの細部、アメニティの大きさまで、さまざまな長さを実測します。どのホテルでも1/50の平面図を描き、縮尺を揃えることで、あとから比較できる資料になっているのもポイント。最後に、部屋中のさまざまな色を測って記録します。色を数値で測っておくことで、実際にその部屋で過ごし、受けた印象との差異を記録できます。そうすると、別の仕事で色を選んだり組み合わせたりするときの目安になるわけです。実物をよく見て、自分なりの視点で記録することで、自分のなかにオリジナルの物差しがたくさんつくられていくように感じています。

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突出したスキルがなくても「掛け合わせ」で価値を出す

――そうした「創意工夫」のスキルは、いつどのように身に付けましたか?
 

遠藤:芸大には、絵がとってもうまい人が山のようにいます。だから、私は特別に絵がうまいわけでもないし、設計仕事だけで独立できるほど建築に精通しているわけでもないと、自分になかなか自信が持てずにいました。でもよく考えてみれば、設計に携わっていてそこそこの絵が描ける人って、そんなに多くありません。そのうえ、カラーコーディネーターの資格を持っていて色彩もわかるとなると、さらにニッチな存在です。一つひとつが突出しているわけじゃなくても、世間一般よりはちょっと得意なこの3つを掛け合わせれば、自分にしかないものがつくれるかもしれない。最初は自分のレファレンスとして始めたホテルの実測スケッチでしたが、そうした掛け合わせがあったからか多くの方に見ていただき、幸いにも「東京ホテル図鑑」という一冊の本にまとめることまでできました。
 

自分の得意を見つけるには、好きなことやできること、苦もなく続けられることを探すのが早いと思います。私は、勉強などでも得意科目と不得意科目が極端なほうだったから、できることを見つけるのがある意味簡単でした。「これしかない」と思うものを組み合わせたら、ホテルの実測スケッチにたどり着いたんです。

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――アイディア出しやスケッチ、文章を書くなど、手を動かす作業に使う道具や環境にこだわりはありますか?
 

遠藤:一枚の実測スケッチを描き上げるには、下書きやレイアウト決めから寸法の計測、ペン入れ、着彩、文字入れと、全部合わせて10時間以上を要します。ペン入れまでは、できるだけホテル滞在中に終えたいところ。いつも使っているのは、わりとどこにでも手に入る定番のボールペンです。気軽にカバンに放り込んでおけるし、なくしてもすぐ買える安心感があるんですよね。
 

ただ、お気に入りの良いペンを大切に使い続ける……みたいなスタイルにも憧れます。私は左利きなのでボールペンのインクが出づらいこともあるのですが、PARKERのインジェニュイティはしゅるしゅると描けていいですね。重いけどしっかり軸があるから、ブレないのもうれしいです。矢羽クリップもかっこよくて、描いているだけで気持ちが上がります。
 

いまはデジタルにも便利なツールがたくさんあるけれど、スケッチはやっぱり手描き派。写真やスキャンのように「とりあえずとっておく」ができず、何をどう描くか、どんな解像度で記録するかを決めてからじゃないと線一本も引けないアナログだからこそ、実物をよく観察することができると感じています。デジタルだと拡大縮小ができるから、スケールの概念がなくなってしまうのも困りどころです。拡大していくらでも描きこめるのは良さでもあるけれど、描きこみの密度がばらつきかねないので、私のスケッチとは合わないような気がしています。ただ、ツールの幅が広がるのはうれしいことだから、適宜デジタルとアナログを使い分けながら作品をつくっていきたいですね。

いつか、空間や体験のトータルデザインに関わりたい

――いま挑戦していることや、今後新たに取り組んでいきたいことはありますか?
 

遠藤:実測スケッチはライフワークとして続けていきたいし、今後は海外のホテルやさまざまな暮らしなど、別のモチーフもたくさん描きたいと思っています。私にとっては建築設計の資料としてつくりはじめたものだけど、「絵を見るのが楽しい」「ホテルに行ってみたくなる」というお声をいただくのも、本当にうれしいです。ただ、少しずつ「いいものを描かなきゃ」「間違えないようにしなきゃ」と身構えてしまうことも出てきました。でも、ラフなテイストが自分の持ち味だとも思うので、あまり気負わず、その場の情緒も感じられる絵を大切にしていきたいと考えています。
 

さまざまな実物を見て描いたスケッチは、私の物差しとなり、アイディアの引き出しとなっていきます。これを活かして、いつか建築のトータルデザインをやってみたい。ホテルで濃密な時間を過ごすうちに、ホテルをホテルたらしめているのは建物や設備のスペックだけでなく、食事やアメニティ、スタッフの受け答えなども含めた空間の体験なのだと感じるようになりました。あとから思い出すのは「あの壁のデザイン素敵だったな」という一部分ではなく「あのクリーム色の壁の前に、かわいい細工の机があったな。きれいなバラが飾ってあって、窓の光に照らされていたっけ」といった全体の印象なんです。いつか建物に関わるすべてのデザインを手がけることができたら、とても面白そうだなと思います。

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PARKERインジェニュイティは創意工夫によって新しい道を切り開こうとするビジネスパーソンの為のペン

​重厚感、書き心地、ステータス感を同時に満たす新ラインナップが登場

2011年の発売以来、革新と進化を続ける「パーカー インジェニュイティ」から、抜群の書き心地を誇るボールペンが加わりました。「パーカー インジェニュイティ」の高級感あるゆったりとしたフォルムに最適な長さ、軸径、重さのバランスを追求し辿り着いた、パーカーボールペンの現行ラインナップの中で一番大きいサイズ。

ダイナミックでありながら洗練されたモダンなデザインは、あらゆるシーンで持つ人の存在感を高めます。ペンで自分らしさを表現したエグゼクティブやプロフェッショナルの方におすすめしたいアイテムです。

Photo:Teppei Daido
Interview&Text:Sakura Sugawara

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